社内SEに転職して後悔するのはどこか|2社の求人で条件を数えた
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社内SEへの転職を考えるとき、よく聞く後悔はだいたい決まっています。年収が思ったより伸びない、新しい技術に触れられない、気づけば社内の何でも屋になっている、思っていたより自由に働けない。どれも「社内SEなら落ち着いて働ける」という期待と、入ってからの実際がずれたときに出てくる言葉です。
そこで、社内SEの求人がほかの求人と比べてどう違うのかを、2つのサービスの公開求人で数えました(2026年10月9日)。レバテックダイレクトでは職種に「社内SE」を含む正社員求人322件と、それ以外の7,426件を、ギークリーでは職種「社内SE(社内情報システム)」の1,957件と、全体の34,826件を比べています。
結果は、2社とも同じ向きでした。社内SEの求人は上場企業の割合が高い一方で、「副業可」「残業少なめ」の条件が付いた求人は少なく、年収レンジの上限は低めです。また、同じ「社内SE」でも、一緒に書かれている職種によって年収の上限が600万円から800万円まで分かれていました。
この記事の対象は、実務経験があり、社内SEへの転職を考えているITエンジニアです。社内SEが良いか悪いかを決める記事ではありません。後悔が起きやすい場所を求人の数字で確かめ、応募前にどこを見ればよいかを書きます。
社内SEの求人は、全体の4〜6%しかない
最初に母数を確かめます。レバテックダイレクトの募集中の正社員求人7,748件のうち、職種に「社内SE」を含むのは322件で、4.2%でした。ギークリーでは全体34,826件のうち1,957件で、5.6%です。
この少なさは、後悔の1つ目の原因になります。選べる求人が少ないと、勤務地や年収で条件を1つ足すたびに候補が一気に減ります。「社内SEならどこでもいい」と条件をゆるめて決めると、入ってから仕事の中身や年収の上限が合わないことに気づく、という順番になりがちです。
レバテックダイレクトの社内SEの求人322件は、195社から出ていました。1社で複数の求人を出している会社もあり、多い会社では1社で20件を超えます。件数の印象よりも、選べる会社の数はさらに少ないと考えておくほうが安全です。
上場企業は多く、「副業可」「残業少なめ」は少ない
次に、求人に付いている条件の割合を、社内SEとそれ以外で比べました。条件の名前と定義はサービスごとに違うので、2社の数字はそれぞれの中だけで比べています。

2社で同じ向きに出たのは3つです。上場企業の割合は社内SEのほうが高く(レバテックダイレクト28.9%と17.7%、ギークリー33.4%と26.8%)、「副業可」は社内SEのほうが少なく(16.1%と34.2%、15.4%と24.3%)、残業が少ないことを示す条件も社内SEのほうが少ない(42.2%と55.2%、23.5%と27.9%)という形でした。
「社内SEは安定していて残業が少ない」という印象のうち、安定の側は数字と合っていますが、残業の側は合っていません。職種ごとに残業の条件を数えた結果は残業の少ない求人を職種別に数えた記事にまとめており、そこでも社内SEは10職種の中で下側でした。社内のシステムは業務が止まると困るため、障害やリリースが業務時間外や月末・期末に寄りやすいことが背景として考えられます。
レバテックダイレクトでは、「新技術に積極的」の条件も社内SEのほうが少なく(45.3%と58.7%)出ました。新しい技術に触れたい人が社内SEを選ぶ場合は、ここが後悔につながりやすい場所です。
働く場所の自由度も見ておきます。ギークリーでは、社内SEの求人のうち「リモートワーク可」は61.4%で全体の66.4%と大きくは変わりませんが、「フルリモート」は1.5%で、全体の3.1%の半分でした。社内のネットワーク機器やPC、会議室の設備を扱う仕事があるため、出社を前提にした求人が多いと見られます。
年収の上限が伸びにくい
年収は、レンジの下限と上限を分けて見ると違いがはっきりします。レバテックダイレクトの正社員求人で、年収レンジの下限の中央値は社内SEもそれ以外も500万円で同じでした。入口の年収は変わりません。
違うのは上限です。上限の中央値は社内SEが720万円、それ以外が800万円で、上限が1,000万円以上の求人は社内SEが15.2%、それ以外が30.6%と半分でした。下限が600万円以上の求人も、社内SEは20.5%でそれ以外の28.2%より少なくなっています。

「入ってすぐは下がらないが、何年か働いたあとで伸びない」。社内SEの年収の後悔は、この形で起きやすいということです。社内SEは会社全体の人事制度の中で評価されることが多く、エンジニア向けの等級が別に用意されていない会社では、上限が会社全体の給与水準に合わせて決まります。
働き方を変える転職で、年収がどの条件でどれだけ動くかは転職で年収が下がる条件を数えた記事で扱っています。社内SEに移るかどうかを年収で判断する場合は、提示額だけでなく、その会社で5年後にどこまで上がるかを面接で聞いておくと判断しやすくなります。
「社内SE」の中身は、求人ごとに違う
同じ社内SEでも、仕事の中身はかなり違います。レバテックダイレクトでは、1つの求人に職種を複数書けるので、社内SEと一緒に書かれた職種で中身を分けられます。ギークリーは職種の区分そのものが分かれています。
| 社内SEと一緒に書かれた職種 | 求人 | 下限の中央値 | 上限の中央値 | 上限1,000万円以上 |
|---|---|---|---|---|
| 社内SEだけ(併記なし) | 77件 | 480万円 | 700万円 | 13.0% |
| システムエンジニア | 67件 | 470万円 | 750万円 | 9.0% |
| インフラ系(インフラ・サーバー・ネットワーク・クラウド・システム管理者) | 59件 | 500万円 | 750万円 | 15.3% |
| PM・PL・ITコンサル・アーキテクト | 41件 | 500万円 | 800万円 | 17.1% |
| 開発系(アプリ・プログラマ・フルスタックなど) | 31件 | 500万円 | 704万円 | 16.1% |
| セキュリティエンジニア | 14件 | 590万円 | 800万円 | 35.7% |
| ヘルプデスク | 11件 | 440万円 | 600万円 | 18.2% |
上限が高いのは、セキュリティや、PM・ITコンサルのように社内の企画や推進を担う求人です。反対にヘルプデスクを含む求人は上限の中央値が600万円で、下限が400万円以下の求人が半分近くありました。同じ「社内SE」の看板でも、問い合わせ対応が中心の仕事と、IT戦略を立てる仕事とでは、年収の天井がまるで違います。
ギークリーでも、社内SE(社内情報システム)の1,957件は「IT戦略・企画」754件、「開発」807件、「ネットワーク」602件に分かれています(1件が複数に入ることがあります)。ヘルプデスクは「テクニカルサポート・ヘルプデスク」として別の区分(404件)です。「社内SE」で一括りに探さず、続けたい仕事の区分で探すことが、中身のずれを防ぐ近道になります。
求人のタイトルにも手がかりがあります。レバテックダイレクトの社内SEの求人322件のうち、タイトルに「DX」を含むものは47件、「企画」「戦略」は44件、「インフラ」「ネットワーク」「サーバ」は49件、「ヘルプデスク」「サポート」は29件でした。タイトルの言葉と併記された職種を合わせて見ると、入社後の仕事の重心がおおよそ読めます。
後悔が起きやすい4つの場所と、応募前に確かめること
ここまでの数字を、後悔の形ごとに整理します。左の列が後悔の中身、中央が数字で見えたこと、右が求人票や面接で確かめる点です。
| 後悔の形 | 数字で見えたこと | 確かめること |
|---|---|---|
| 年収が伸びない | 上限1,000万円以上は15.2%(それ以外30.6%)。ヘルプデスクを含む求人は上限の中央値600万円 | 年収レンジの上限、エンジニア向けの等級があるか、5年後の年収の例 |
| 新しい技術に触れない | 「新技術に積極的」45.3%(それ以外58.7%) | 開発を社内で行うか外部に任せるか、自分で手を動かす割合、直近で入れた技術 |
| 何でも屋になる | ヘルプデスク・システム管理者を併記した求人がある。区分が分かれていないサービスでは見分けにくい | 情報システム部門の人数、問い合わせ対応の担当者が別にいるか、担当範囲の一覧 |
| 思ったより自由に働けない | 「副業可」16.1%(それ以外34.2%)、ギークリーの「フルリモート」1.5%(全体3.1%) | 出社の頻度、障害時と休日の対応の当番、副業の規定 |
この中で、求人票だけでは分からないことが多いのが「何でも屋になる」です。情報システム部門が2〜3人の会社では、ヘルプデスク、PCの手配、ネットワーク、業務システムの保守、外部のベンダーとのやり取りまで、全部を少人数で持つことになります。部門の人数と、問い合わせ対応を誰が受けているかは、面接で直接聞いてください。
「新しい技術に触れない」も、会社の作り方で決まります。社内のシステムを外部の会社に作ってもらい、社内SEは発注と管理を担う形の会社では、自分でコードを書く時間はほとんどありません。開発を社内で行っている会社でも、扱うのが十年以上使っている基幹システムなら、触れる技術は古くなります。直近の1〜2年で何を入れ替えたかを聞くと、その会社の技術の動き方が分かります。
面接で聞くと、仕事の中身が分かる質問
上の表の「確かめること」は、そのまま聞くと答えにくい質問もあります。社内SEの面接では、相手も同じ部門で働く人であることが多いので、具体的な場面を聞く形にすると答えが返ってきやすくなります。
- 「先月いちばん時間を使った仕事は何でしたか」。問い合わせ対応、ベンダーとの打ち合わせ、開発、障害対応のどれが答えに出てくるかで、仕事の重心が分かります
- 「部門は何人で、問い合わせはどこが受けていますか」。受付が別の担当や外部にあるかどうかで、ヘルプデスクの仕事がどれだけ回ってくるかが分かります
- 「直近の1〜2年で入れ替えたシステムや技術はありますか」。答えが具体的なら、技術を更新する予算と意思がある会社です
- 「障害や休日の対応は、どういう当番で回していますか」。残業の少なさの条件が付いていない会社でも、当番の決まり方を聞けば負担の偏りが見えます
- 「この部門から、ほかの部署や上の役職に移った人はいますか」。社内SEの年収の上限は、部門の外に道があるかどうかでも変わります
どの質問も、正解の答えがあるわけではありません。自分が続けたい仕事と、答えに出てきた仕事の重心が合っているかを確かめるための質問です。合っていなければ、その時点で候補から外すほうが、入社後の後悔より負担が小さく済みます。
後悔しにくい探し方の順番
ここまでを、探す順番に並べ直します。転職活動全体の流れはエンジニアの転職の進め方にあるので、ここでは社内SEを選ぶときに固有の部分だけを書きます。
- 続けたい仕事の区分を先に決める。IT戦略・企画、開発、インフラ・ネットワーク、セキュリティのどれを軸にするかを決め、その区分で探します。「社内SE」だけで探すと、中身の違う求人が混ざります
- 年収レンジの上限を見る。下限ではなく上限が、その会社でどこまで上がるかの目安です。上限がいまの年収に近い求人は、数年後に伸びなくなる可能性があります
- 開発を社内で行うかを確かめる。求人票の業務内容に「ベンダーコントロール」「要件定義」「運用保守」が並ぶ場合と、言語やフレームワークが並ぶ場合とでは、手を動かす量が違います
- 働き方の条件は面接で聞く。残業の少なさや副業の可否は、求人の条件として付いていない会社も多くあります。出社の頻度と、障害時・休日の当番の有無は具体的に聞きます
- 部門の人数と担当範囲を聞く。少人数の部門では担当範囲が広くなります。広いこと自体は経験になりますが、望んでいない範囲まで持つことになるなら、後悔の原因になります
なお、いまSESや客先常駐で働いていて、「客先に行かずに済む働き方」を求めて社内SEを考えている場合は、社内SEだけが出口ではありません。客先常駐をやめたいときに求人票のどこを見るかで、契約の形と勤務地から選ぶ方法を扱っています。受託開発のSIerから移る場合は、SIerから自社開発へ移るときの求人を職種別に数えた記事も比べてみてください。
この数え方の限界
この記事の数字は、求人に付いた条件と、求人票に書かれた年収レンジです。実際の残業時間や、入社後に提示される年収を測ったものではありません。条件は企業が自分で付けるもので、付いていなくても実態として当てはまる会社はあります。
また、2社の数字は条件の定義が違います。たとえばレバテックダイレクトの「残業月20時間未満」とギークリーの「月平均残業20時間以内」は似た条件ですが、同じものではないため、社名をまたいで数字を比べないでください。この記事では、それぞれのサービスの中で社内SEとそれ以外を比べることだけをしています。ギークリーの件数は、職種と条件を重ねて検索したときに表示された件数で、1件の求人が複数の職種の区分に入ることもあります。
レバテックダイレクトでは、2026年10月8日まで求人に「リモートワーク可」「フルリモート可」の条件が付いていましたが、10月9日には求人検索の条件と求人の表示から無くなっていました。そのため、リモートの比較はギークリーの数字だけを使っています。
この進め方が向かない人
- 実務経験がまだない人。レバテックダイレクトの社内SEの求人で「実務未経験歓迎」の条件が付いていたのは4.7%でした。社内SEは少人数の部門が多く、育成より即戦力の採用が中心になりやすいためです
- いまの会社で、情報システム部門への異動ができる人。社内の異動なら、業務と人を知っている状態で移れます。年収や評価も引き継げるので、転職より先に検討する価値があります
- 年収を大きく上げることが一番の目的の人。上限1,000万円以上の求人は社内SEで15.2%と、それ以外の半分でした。年収を軸にするなら、セキュリティや社内の企画・推進の求人に絞るか、社内SE以外も並べて比べてください
- フルリモートで働くことが条件の人。ギークリーでは社内SEのフルリモートの求人は29件(1.5%)でした。選べる数がかなり限られます
よくある質問
社内SEは残業が少ないですか
求人の条件で見る限り、ほかの職種より少ないとは言えません。レバテックダイレクトで「残業月20時間未満」の条件が付いた求人は、社内SEが42.2%、それ以外が55.2%でした。ギークリーの「月平均残業20時間以内」も23.5%と全体の27.9%より少なめです。実際の残業時間は会社ごとに違うので、面接で聞いてください。
社内SEに転職すると年収は下がりますか
入口では下がるとは限りません。年収レンジの下限の中央値は、社内SEもそれ以外も500万円で同じでした。差が出るのは上限で、上限の中央値は720万円と800万円、上限1,000万円以上の求人は15.2%と30.6%です。数年後に伸びにくい形なので、上限と評価の仕組みを確かめてください。
社内SEはリモートで働けますか
一部のリモートなら選択肢はあります。ギークリーでは社内SEの求人の61.4%に「リモートワーク可」が付いており、全体の66.4%と大きくは変わりません。一方で「フルリモート」は1.5%(29件)で、全体の3.1%の半分でした。出社の頻度は求人ごとに確かめてください。
社内SEは新しい技術に触れられませんか
会社によります。レバテックダイレクトの「新技術に積極的」の条件は、社内SEが45.3%、それ以外が58.7%で、社内SEのほうが少なめでした。開発を社内で行い、言語やフレームワークが求人票に書かれている会社を選ぶと、手を動かす機会は残ります。
ヘルプデスクの経験だけでも社内SEに応募できますか
応募できる求人はありますが、年収の幅は狭くなります。レバテックダイレクトでヘルプデスクを併記した社内SEの求人は11件で、上限の中央値は600万円でした。インフラやネットワークの経験を足すと、上限が750万円前後の求人まで候補が広がります。
まとめ
- 社内SEの求人は全体の4.2%(レバテックダイレクト)〜5.6%(ギークリー)。選べる会社はさらに少ない
- 2社とも、社内SEの求人は上場企業が多く、「副業可」と「残業少なめ」の条件が少ない。安定の印象は数字と合うが、残業の印象は合わない
- 年収レンジの下限の中央値は500万円で同じ。上限1,000万円以上は15.2%で、それ以外(30.6%)の半分
- 同じ社内SEでも、セキュリティや企画・PMの求人は上限が高く、ヘルプデスクを含む求人は低い
- ギークリーの「フルリモート」は社内SEで1.5%。フルリモートを条件にすると選べる数がかなり限られる
- 探すときは「社内SE」で一括りにせず、続けたい仕事の区分で探し、年収の上限と部門の人数を確かめる
社内SEの求人だけを並べて、仕事の中身ごとに比べたい場合は、社内SEに特化したサービスを使うと、最初の候補を作りやすくなります。なお、この形のサービスは登録後に面談があります。
集計は、2026年10月9日にレバテックダイレクトの求人検索に表示された募集中の求人のうち、雇用形態が正社員の7,748件について、求人ごとに表示された職種・年収レンジ・条件を記録したものです。社内SEは職種に「社内SE」を含む求人(322件)としました。ギークリーの件数は、同じ日に求人検索で職種「社内SE(社内情報システム)」と各条件を重ねて表示された件数です。どちらも1社ずつのデータであり、市場全体の比率ではありません。
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残業の少ない求人を職種別に数えた記事|社内SEの残業の条件がほかの職種と比べてどの位置にあるかと、求人票で残業を確かめる手順を扱っています。
出典
- レバテックダイレクト 求人検索(募集中の正社員求人7,748件の職種・年収レンジ・条件、職種「社内SE」322件・2026年10月9日確認)
- ギークリー 求人検索(全体34,826件、「社内SE(社内情報システム)」1,957件と各条件を重ねた件数、「IT戦略・企画」754件・「開発」807件・「ネットワーク」602件・2026年10月9日確認)
- 社内SE転職ナビ 求人検索(職種の区分・勤務地の区分・2026年8月26日確認)