状況別の転職

残業が少ないエンジニア求人の探し方|「社内SEなら少ない」は逆だった

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「残業の少ない会社に移りたい」と思って調べると、たいてい同じ答えに行き当たります。残業が少ない職種は社内SE。ところが求人の条件で数えてみると、この通説は逆でした。

レバテックダイレクトの募集中求人7,844件を職種で絞り、そこへ「残業月20時間未満」を重ねたところ、社内SEは43.3%で、10職種のうち最下位でした。全体の53.7%を10ポイント以上下回っています。いちばん高いのはプログラマの70.4%です。

この記事は、残業の条件で求人を絞るときに何を決めておくかを扱います。対象は実務経験のあるITエンジニアです。ランキングは作りません。自分の線を決めて、求人票で確かめる手順だけを書きます。

「残業が少ないのは社内SE」は、数えると逆だった

まず数字を見ます。職種を1つ選んだときの募集中件数と、そこへ「残業月20時間未満」を重ねたときの件数です。

職種別に残業月20時間未満の求人の割合を並べた横棒グラフ。プログラマが70.4%で最上位、社内SEが43.3%で最下位、全体の平均は53.7%
職種別「残業月20時間未満」の求人の割合(レバテックダイレクトの募集中求人・2026年9月20日確認・n=7,844)。作成 Career’s Net 編集部

全体平均の53.7%より上にあるのは、プログラマ・インフラ・システムエンジニア・サーバーサイド・ネットワーク・テスト/QA。下にあるのは、フロントエンド・SRE・プロジェクトマネージャー・社内SEです。

もう1つ、全体の数字そのものにも意味があります。7,844件のうち4,211件、半分強に「残業月20時間未満」が付いています。条件としては絞り込みの効きが弱いということです。この条件を1つ足しただけでは、母数は半分にしかなりません。職種で絞ったときの差のほうが、条件そのものより大きく出ています。

SREとプロジェクトマネージャーが下側なのは、説明がつきます。障害対応と締め切りは、時間で区切れない仕事だからです。一方で社内SEが最下位なのは、通説と食い違います。

この数字が言えることと、言えないこと。これは求人に付いた条件のタグであって、実際の残業時間を測ったものではありません。企業が自己申告で付けた条件です。また社内SEは母数が326件と小さく、1社のデータでもあります。「社内SEは残業が多い」という主張ではなく、「社内SEを選べば残業が少ない、という前提で探すと外れることがある」という読み方をしてください。

社内SEの仕事は、社内の利用者からの問い合わせ、ベンダーとの調整、障害対応、業務システムの更改が混ざります。締め切りが自分の外にある仕事が多いので、時間の読みにくさは開発職と変わらないことがあります。職種名ではなく、求人票に書かれた業務範囲で見る必要があります。

「残業が少ない」の線は、サービスごとに違う

次に、条件そのものを見ます。当サイトが掲載している15社の求人検索で、残業に関する条件がどう用意されているかを確認しました。

サービス残業に関する条件刻み
マイナビ転職ITエージェント5時間以下/10時間以下/15時間以下/20時間以下/25時間以下/30時間以下6段階
リクルートエージェント「残業なし(原則定時退社)」「残業月20時間以内」2段階
doda「原則定時退社」15,150件/「残業20時間未満」119,099件2段階
ギークリー「月平均残業20時間以内」10,042件1段階
ウィルオブテック「残業20H以内」2,175件。ほかに「残業代全額支給」1段階
レバテックダイレクト「残業月20時間未満」1段階
AIdea Career「残業少なめ」(数値の定義なし)—
テックゴーなし(絞り込みは職種・スキル・エリア・年収・企業の5軸)—
残業に関する絞り込み条件(各社公式サイトで確認・2026年8月25日〜9月20日)。doda・ギークリー・ウィルオブテックの件数は全職種

多数派は「20時間」です。ただしdodaでは「原則定時退社」15,150件に対して「残業20時間未満」が119,099件と、8倍の開きがあります。同じ「残業が少ない」でも、0時間を指すのか20時間を指すのかで、見える求人の量がまるで変わります。

刻みが細かいのはマイナビ転職ITエージェントだけです。5時間刻みで6段階あり、「10時間以下」のような中間の線を引けます。他社は20時間の1段階が中心で、その内側は分かりません。

そしてAIdea Careerの「残業少なめ」には数値の定義がありません。テックゴーには残業の条件そのものがなく、担当者に伝える形になります。条件で探せるかどうかは、サービスを選ぶ段階で決まります。

法律はどこに線を引いているか

求人の条件と、法律の上限を同じ数直線に並べると、位置関係がはっきりします。

月あたりの時間外労働の数直線に、法律の上限(原則45時間、特別条項の80時間・100時間)と、求人の条件(原則定時退社0時間、5時間以下、20時間未満)を並べた図
法律が引いている線と、求人検索で選べる線(当サイトの整理)。作成 Career’s Net 編集部

厚生労働省の解説によると、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満かつ2〜6か月平均80時間以内とする必要があります。そして原則である月45時間を超えられるのは、年6か月までです。

ここから分かることが2つあります。

  1. 求人条件の「20時間未満」は、法律上の原則の上限の半分以下です。法令を守っている会社でも、月45時間まではありえます。「違法ではない」と「自分が望む働き方」は別です
  2. 45時間を超える月が年6か月まで許されるということは、繁忙期に偏る働き方が想定されているということです。平均で見た数字だけでは、山の高さが分かりません

つまり「平均月20時間」と「繁忙期は月45時間、それ以外は10時間」は、どちらも条件に合致しうるということです。平均だけを見ると、山を見落とします。

自分の線を、先に1つ決める

条件で絞る前に、自分がどの線を求めているのかを決めます。決めないまま探すと、サービスが用意した線(多くは20時間)に合わせることになります。

  • 0時間(原則定時退社) — 決まった時間に帰れることが目的。求人の量は大きく減ります。dodaの比率でいえば8分の1です
  • 月10時間前後 — 週に2〜3時間。平日の夜に予定を入れられます。この線で絞れるのはマイナビ転職ITエージェントです
  • 月20時間前後 — 多数派の線。週に1日、2時間ほど残る計算です
  • 繁忙期の山を抑えたい — 平均ではなく最大を見る話なので、条件では絞れません。面談で聞く項目になります

4つ目が重要です。残業を減らしたい理由が「毎月の平均」ではなく「月末や期末に潰れること」なら、求人の条件では解決しません。条件で絞れるのは平均だけです。

求人票で確かめる — 時間外労働は明示事項に入っている

条件で絞ったあとは、1件ずつ求人票を読みます。時間外労働に関する事項は、労働者の募集や職業紹介の際に明示すべき事項に含まれています。令和6年4月からは、これに加えて「従事すべき業務の変更の範囲」と「就業の場所の変更の範囲」も明示すべき事項になりました。

読むときの順番は3つです。

  1. 時間外労働の記載が「あり」なのか、時間数まで書かれているか。「月平均◯時間」と数字が入っていれば、条件のタグと突き合わせられます
  2. 固定残業代(みなし残業)の有無と時間数。「月30時間分を含む」と書かれていれば、30時間前後は前提だと読めます。条件の「20時間未満」と矛盾することがあります
  3. 裁量労働制・フレックスタイム制の記載。裁量労働制では、残業時間という概念の扱いが通常の勤務と変わります

2の固定残業代は、条件だけで絞っていると見落とします。「残業20時間未満」で絞った求人の中に「固定残業代30時間分」の求人が入っていることがあります。数字が2つ出てきたら、大きいほうを前提として読んでください。

条件に出てこないが、時間に効くもの

求人の条件は「月あたり何時間か」しか表せません。ところが実際に生活を圧迫するのは、時間の長さより時間帯と予測のしにくさであることがあります。条件で絞れないものを4つ挙げます。

  • オンコール当番。深夜や休日に呼び出される可能性がある体制かどうか。月の合計時間は短くても、予定が立ちません。先ほどのデータでSREが下側にいるのは、この性質と無関係ではないはずです
  • リリースの時間帯。深夜リリースが定例になっている会社があります。回数と時間帯は事実なので、聞けば答えられます
  • 締め切りが自社にあるか、外にあるか。受託や常駐では、締め切りが顧客側にあります。自社プロダクトでは、優先順位を社内で動かせる余地があります
  • 人数と属人化。担当が1人の領域があると、その人の休みが取りにくくなります。社内SEで「ひとり情シス」に近い体制だと、時間の総量以上に負荷が偏ります

3つ目は、働く場所の話とつながっています。客先常駐か自社内かは、締め切りが誰の手にあるかの違いでもあります。時間を変えたいのか、決め方を変えたいのかを分けておくと、見るべき条件が決まります。

職種を変えずに、時間だけ変えられるか

先ほどの数字を見て、「自分の職種は下側だから、職種ごと変えるしかないのか」と読む必要はありません。割合が低いことと、件数がゼロであることは違います。プロジェクトマネージャーは45.5%ですが、条件に合う求人は465件あります。SREは46.4%で32件です。割合は近いのに、選べる求人の数は14倍ちがいます。

ここで分かれ目になるのは母数の大きさです。465件あれば、そこへ勤務地や年収を重ねても手元に残ります。32件だと、条件をもう1つ足した時点で選べなくなります。割合ではなく、条件を重ねたあとの件数で判断してください。

件数が小さい職種で時間を変えたい場合、手は2つあります。1つは条件の線を外して、求人票の記載で1件ずつ判断すること。もう1つは同じ職種のまま、締め切りの持ち主が違う会社を探すことです。前者は読む手間が増え、後者は探し方そのものが変わります。どちらも「職種を変える」より手前にある選択肢です。

面談では、平均ではなく山を聞く

「残業はどれくらいですか」と聞くと、平均の数字が返ってきます。平均は求人票に書いてあることが多いので、聞く意味が薄い質問です。聞くのは山の高さと、その理由です。

  • 「いちばん忙しい月は、何月ですか」 — 繁忙期があるかどうかは事実なので答えられます
  • 「その月は、平均と比べてどれくらい増えますか」 — 山の高さを数字で聞きます
  • 「直近で、月45時間を超えた人はいますか」 — 法律上の原則の線をそのまま使うと、答えが具体的になります
  • 「残業が発生する原因は、どの工程にありますか」 — 障害対応なのか、見積もりなのか、外部の締め切りなのかで、入社後に変わる見込みが違います

この4つは、選考の場より前に聞いておくほうが率直な答えが返ります。まだ選考ではない場をどう見分けるかは、3つの面談の見分け方で整理しています。

残業の少ない求人を選ぶと、同時に変わるもの

条件を1つ足すと、求人の量が減るだけでなく、中身も偏ります。先に知っておくと、入社後の落差が小さくなります。

  • 年収の帯が下がることがある。固定残業代が年収に含まれている求人では、残業が減ると支給額も減ります
  • 任される範囲が変わる。時間で区切れる仕事は、工程が決まっている仕事でもあります
  • 選べる職種が偏る。先ほどの数字のとおり、SREやプロジェクトマネージャーは条件に合う求人が少なくなります
  • 会社の規模の傾向が出る。制度として残業を抑えている会社は、体制が整っている会社でもあります

1つ目は特に見落とされます。「残業代込みで◯◯万円」の求人で残業が減ると、手取りが下がります。年収の条件と残業の条件を同時に付けるときは、固定残業代の有無を必ず見てください。金額の決まり方については年収交渉の材料で扱っています。残業の条件を付けると年収の下限がどれだけ下がるかは、エンジニアの転職で年収は下がるのかで職種ごとに数えています。

条件を重ねるほど、母数は急に減る

残業の条件だけで、全体の53.7%まで絞られます。ここに職種と勤務地とリモートを足していくと、選べる求人は一気に小さくなります。

先に当サイトで数えた例では、募集中7,870件のうち「自社サービスあり」かつ「フルリモート可」は588件でした。全体の7.5%です。条件は足すたびに掛け算で効きます。

そこで順番を決めます。変えたいことを1つ主に決め、残りは「あれば良い」に落とす。主が決まっていないと、条件を足しすぎて0件になり、結局すべてを外すことになります。転職全体をどの順番で進めるかはITエンジニアの転職の進め方の7工程にまとめています。

客先常駐をやめることが主なら、そちらを先に決めてください。条件の読み分けは客先常駐から抜けるときに求人票のどこを見るかで扱っています。

この進め方が向かない人

  • いまの職場の労働時間そのものに問題がある人。この記事は求人の探し方であって、いま起きていることへの対処ではありません。36協定の上限を超えているなどの場合は、都道府県労働局や労働基準監督署が相談先になります
  • 残業代が支払われていない人。転職より先に確認することがあります。求人を探す話と切り分けてください
  • 年収を上げることが主な目的の人。残業の条件と年収の条件を同時に付けると、求人が大きく減ります。順番を決めてください
  • 繁忙期の山だけを避けたい人。条件で絞れるのは平均です。面談で聞く項目になります
  • フリーランスや業務委託を考えている人。当サイトは正社員転職だけを扱っています。労働時間の規制の適用も変わります

よくある質問

求人票の「残業月20時間」は信じてよいですか

企業が明示した数字なので、出発点としては使えます。ただし平均であることと、固定残業代の時間数と食い違うことがある点は確かめてください。数字が2つ出てきたら、大きいほうを前提に読むほうが安全です。

「固定残業代30時間分」は、30時間働く前提ということですか

その時間数までの残業代が、あらかじめ賃金に含まれているという意味です。実際にその時間を働くかどうかは会社によります。ただし、その時間数を見込んだ設計になっていると読むのが自然です。超えた分は別途支払われます。

社内SEなら残業が少ないと聞きましたが、違うのですか

当サイトが数えた範囲では、社内SEの求人のうち「残業月20時間未満」の条件が付いているのは43.3%で、10職種のうち最下位でした。ただしこれは求人に付いた条件であって、実際の残業時間の実測ではありません。社内SEという職種名で決めず、求人票の業務範囲で見てください。

裁量労働制の求人は、残業が多いということですか

多い少ないとは直接つながりません。裁量労働制では、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす扱いになります。時間の使い方を自分で決めやすくなる一方、残業時間という指標では比べにくくなります。対象になる業務は法令で限られているので、求人票の記載を見てください。

面接で残業について聞くと、印象が悪くなりませんか

明示すべき事項に含まれているので、聞くこと自体は前提として扱われています。聞き方で差が出ます。「残業は少ないですか」より「繁忙期は何月で、そのとき平均からどれくらい増えますか」のほうが、事実の質問として答えやすくなります。

オンコール当番があるかは、求人票で分かりますか

条件としては用意されていないので、本文を読むか面談で聞くことになります。求人票の業務内容に「運用保守」「監視」「障害一次対応」が入っていれば、当番がある可能性があります。回数と時間帯は事実なので、聞けば答えが返ります。

条件で絞ると求人が少なすぎます

条件は掛け算で効くので、3つ重ねると1割を切ることがあります。主にしたい条件を1つ決め、残りは外して母数を見てから、順に戻すほうが早く決まります。刻みの細かいサービスを使うと、20時間と0時間の間で妥協点を探せます。

まとめ

  • 「残業が少ないのは社内SE」は、求人の条件で数えると逆だった。社内SE43.3%に対しプログラマ70.4%、全体53.7%(レバテックダイレクトの募集中求人7,844件・2026年9月20日確認)
  • ただしこれは求人に付いた条件であって、実際の残業時間の実測ではない
  • 「残業が少ない」の線はサービスごとに違う。マイナビ転職ITエージェントだけが6段階で刻み、多数派は20時間の1段階
  • dodaでは「原則定時退社」15,150件に対し「残業20時間未満」119,099件で8倍の差。0時間を指すか20時間を指すかで、見える求人の量が変わる
  • 法律の原則の上限は月45時間・年360時間。特別条項でも年720時間以内、月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内。45時間を超えられるのは年6か月まで
  • 条件で絞れるのは平均だけ。繁忙期の山は面談で聞く
  • 求人票では固定残業代の時間数を見落とさない。条件の「20時間未満」と食い違うことがある
  • 残業が減ると、固定残業代が含まれていた分の支給額も減る

刻みの細かい条件で探したい場合は、担当者に線を伝える形になります。月20時間と0時間のあいだで妥協点を探すときは、求人を持っている側に数字で伝えるほうが早く決まります。なお、この形のサービスは登録後に面談があります。

求人件数の集計は、2026年9月20日にレバテックダイレクトの求人検索で、職種と「残業月20時間未満」の絞り込みを重ねて表示された募集中件数を記録したものです。1社のデータであり、市場全体の比率ではありません。各社の絞り込み条件と件数は、2026年8月25日から9月20日にかけて各社の公式サイトで確認したものです。各社の確認日は、転職サービス一覧の各ページに「最終確認日」として掲載しています。

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客先常駐をやめたいときに、求人票のどこを見るか|働く場所を変えたい場合は、条件の呼び名の読み分けから始まります。同じく求人票で確かめる手順を扱っています。

出典