状況別の転職

エンジニアの転職で年収は下がるのか|求人7,732件の下限で数えた

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転職で働き方を変えたいと考えたとき、多くの人が最初に気にするのは「年収が下がるのではないか」です。残業を減らす、自社サービスの会社に移る、リモートで働く。どれも条件を1つ足すことなので、そのぶん選べる求人が減り、年収も下がりそうに見えます。

そこで、レバテックダイレクトの募集中の正社員求人7,732件について、求人票に書かれた年収レンジの下限を条件ごとに数えました。結果は、下がる条件と、むしろ上がる条件に分かれました。「残業月20時間未満」を付けると下限600万円以上の求人の割合は27.8%から21.7%に下がり、「自社サービスあり」を付けると34.1%に上がります。

この記事の対象は実務経験のあるITエンジニアです。ランキングは作りません。どの条件が年収の下限を押し下げるのか、そして求人検索の「年収」の条件が何を見ているのかを、件数で確かめる手順だけを書きます。

年収は「上限」ではなく「下限」で見る

求人票の年収は、ほとんどが「500万円〜800万円」のようなレンジで書かれています。今回数えた7,732件では、下限の中央値が500万円、上限の中央値が800万円で、レンジの幅の中央値は300万円でした。

300万円の幅のどこで提示されるかは、選考の結果で決まります。経験が求人の想定より浅ければ下限の近くになり、想定どおりなら中ほどになります。上限は「最大でここまで出せる」という枠で、自分に出る額の目安ではありません。年収が下がるかどうかを考えるなら、見るべきは下限の側です。

そこでこの記事では、「下限が600万円以上の求人の割合」を物差しにしました。600万円は、今回の母数でおよそ4件に1件が下限で届く線です。条件を足してこの割合が下がるなら、その条件は年収の下限を押し下げる方向に働いている、と読めます。

まず、自分の年収を職種の下限と並べてみる

条件の話に入る前に、出発点を確かめます。同じ7,732件を職種で分けると、年収レンジの下限の中央値は次のとおりでした。

  • 600万円:プロジェクトマネージャー
  • 500万円:サーバーサイドエンジニア・社内SE・テスト・QAエンジニア
  • 445〜450万円:システムエンジニア・フロントエンドエンジニア・インフラエンジニア・ネットワークエンジニア
  • 400万円:プログラマ

いまの年収がこの中央値より高い人は、同じ職種で探すと、下限がいまの年収より低い求人に多く当たります。その場合は、条件を足す前から「提示が下限の近くになると下がる」状態にいます。逆に中央値より低い人は、下限だけ見ても上がる求人が半数以上あります。年収が下がるかどうかは、条件より先に、この位置関係でおおよそ決まっています。

条件ごとに数えると、下がる条件と上がる条件に分かれた

レバテックダイレクトの求人には「残業月20時間未満」「自社サービスあり」などのタグが付いています。タグごとに、下限が600万円以上の求人の割合を出しました。

条件ごとに、年収レンジの下限が600万円以上の求人の割合を並べた横棒グラフ。自社サービスあり34.1%、フルリモート可31.6%、リモートワーク可29.0%、オンライン選考可27.1%、残業月20時間未満21.7%、面接1回17.7%。条件なしは27.8%
条件別「年収の下限が600万円以上」の割合(レバテックダイレクトの募集中・正社員求人7,732件・2026年9月28日取得)。作成 Career’s Net 編集部

条件なしの27.8%を境に、上下に分かれています。

  • 下がる:面接1回(17.7%)・残業月20時間未満(21.7%)。条件なしより6〜10ポイント低い
  • ほぼ変わらない:オンライン選考可(27.1%)・リモートワーク可(29.0%)。差は1ポイント前後
  • 上がる:自社サービスあり(34.1%)・フルリモート可(31.6%)。条件なしより4〜6ポイント高い

「条件を足すと年収が下がる」という感覚は、残業と面接回数については数字と合っています。一方で、自社サービスやリモートについては逆でした。条件を足して選べる求人の数は減っても、残った求人の年収の水準まで下がるとは限りません。

この数字が言えることと、言えないこと。これは求人票に書かれた年収レンジを数えたもので、実際に内定で提示された額ではありません。条件のタグも企業が自分で付けたものです。また1社の求人検索のデータで、市場全体の比率ではありません。「この条件を選ぶと年収が下がる」ではなく、「この条件で絞った求人は、下限が低めのものが多い」という読み方をしてください。

残業を減らす条件は、ほぼどの職種でも下限を下げる

全体で下がって見えても、それが「残業の少ない求人に、もともと年収の低い職種が多いから」なら、職種を変えなければ下がらないはずです。そこで職種を揃えて比べました。

職種下限600万円以上(全体)同(残業月20時間未満)下限の中央値
システムエンジニア16.0%12.5%450万円 → 450万円
プログラマ7.0%6.0%400万円 → 400万円
サーバーサイドエンジニア24.1%17.3%500万円 → 480万円
フロントエンドエンジニア20.3%14.0%450万円 → 450万円
インフラエンジニア20.9%17.1%450万円 → 450万円
ネットワークエンジニア14.5%13.4%445万円 → 420万円
社内SE19.6%12.1%500万円 → 450万円
プロジェクトマネージャー57.3%55.1%600万円 → 600万円
テスト・QAエンジニア21.7%19.1%500万円 → 450万円
職種を揃えたときの「残業月20時間未満」の影響(レバテックダイレクトの募集中・正社員求人・2026年9月28日取得)。1つの求人が複数の職種に属することがある。作成 Career’s Net 編集部

9職種すべてで、下限600万円以上の割合が下がっていました。下がり幅は職種によって1〜8ポイントで、社内SE(19.6%→12.1%)とサーバーサイドエンジニア(24.1%→17.3%)が大きく、プログラマやネットワークエンジニアは小さめです。

理由の1つは、固定残業代(みなし残業)です。年収に一定時間分の残業代を含めている求人では、想定する残業が少ないほど、その分が年収から抜けます。もう1つは、時間で区切りやすい仕事は、工程が決まっている仕事でもあることです。担当範囲が狭い求人ほど、年収の下限も低めに置かれる傾向があります。残業の条件そのものの読み方は残業が少ないエンジニア求人の探し方で扱っています。

自社サービスは職種を揃えても上がり、フルリモートは職種の偏りだった

上がる側の2つも、同じように職種を揃えて確かめました。

自社サービスありは、比べた9職種のうち8職種で下限600万円以上の割合が上がりました(上がり幅は2〜6ポイント、残る1職種の社内SEはほぼ横ばい)。職種の偏りでは説明がつかず、同じ職種の中でも自社サービスを持つ会社の求人のほうが、下限が高めに置かれています。客先常駐から自社内開発に移りたい人にとっては、年収を理由に諦める必要が薄いことを示す数字です。常駐をやめるときの求人の見分け方は客先常駐をやめたいときに求人票のどこを見るかにまとめています。

一方でフルリモート可は、職種を揃えると上がる職種と下がる職種に分かれました。プロジェクトマネージャーは6.4ポイント上がりますが、フロントエンドエンジニアは5.6ポイント、ネットワークエンジニアは11.3ポイント下がります。全体で上がって見えたのは、フルリモートの求人に、もともと年収の高いプロジェクトマネージャーなどの職種が多く含まれていたからです。

つまり、フルリモートを条件にしても年収が上がるわけではありません。自分の職種のまま探すなら、上がるか下がるかは職種しだいです。全体の平均だけを見て判断すると、ここを読み違えます。

「面接1回」の求人は、下限が低い側に寄っている

下がり幅がいちばん大きかったのは「面接1回」で、条件なしより10.1ポイント低い17.7%でした。職種を揃えても、サーバーサイドエンジニアで12.3ポイント、フロントエンドエンジニアで11.1ポイント下がります。

選考の回数が少ないのは、判断する範囲が狭い採用だからです。任せる仕事が決まっていて、見極めることが少ない求人ほど、面接を1回で済ませられます。選考の手間の少なさと、年収の下限の高さは、同じ求人の中で両立しにくいということです。面接の回数が職種でどれだけ違うかは技術面接で聞かれることで数えています。

もちろん、面接1回の求人がすべて年収の低い求人というわけではありません。17.7%は、面接1回の求人のうち6件に1件ほどは下限が600万円以上あるという数字でもあります。条件で除外するのではなく、下限で並べ替えて見るほうが、取りこぼしが少なくなります。

求人検索の「年収600万円〜」は、上限で判定されている

ここで、求人検索の年収の条件について確かめておくことがあります。レバテックダイレクトで年収「600万円〜」を選ぶと6,456件が残りました(2026年9月28日)。この件数は、年収レンジの上限が600万円を超える求人の数と一致しました。下限ではなく上限で判定されています。

「年収上限が低い順」に並べ替えると、先頭に来るのは「365万円〜601万円」のような求人です。600万円を超えるのは上限の1万円だけですが、条件には合っているので残ります。

年収「800万円〜」で絞ったときに残る正社員求人3,326件の、年収レンジの下限の分布を示す帯グラフ。下限800万円以上は15.5%、600万円未満は45.1%
年収「800万円〜」で残る求人の、年収レンジの下限の分布(レバテックダイレクトの募集中・正社員求人・2026年9月28日取得)。作成 Career’s Net 編集部

「800万円〜」で絞った3,326件のうち、下限が800万円以上の求人は517件、15.5%でした。下限が600万円に届かない求人は1,500件、45.1%あります。800万円の条件で探したつもりでも、提示されうる額の出発点は半数近くが600万円未満です。

これは求人検索の不具合ではなく、「その年収に届く可能性がある求人」を探す仕組みです。ただ、いまの年収を下げたくない人が使う物差しとしては、上限は向いていません。条件で絞ったあと、下限の数字を1件ずつ確かめる工程が残ります。

年収の条件は、サービスごとに「下限」か「上限」かが違う

同じ「600万円以上」という表示でも、何で判定しているかはサービスによって違います。当サイトが掲載している転職サービスのうち、年収で絞り込める主なサービスの表示を並べました。

サービス年収の条件の表示判定
レバテックダイレクト「600万円〜」など上限(件数の一致で確認)
ギークリー499万円以下〜1000万円以上の7区分上限の可能性(並べ替えの内部名が年収上限)
ウィルオブテック「年収下限」13段階(300万円以上〜1,500万円以上)下限と表示
テックゴー「年収下限」14段階(300万円以上〜2,000万円以上)下限と表示
年収の絞り込み条件の表示と判定(各社公式サイトで確認・2026年8月28日〜9月28日)。作成 Career’s Net 編集部

上限で判定するサービスと、下限と表示しているサービスでは、同じ金額で絞っても残る求人の性質が違います。件数だけを比べて「こちらのほうが高年収の求人が多い」と判断するのは早計です。下限と表示しているサービスでも、求人票の年収レンジのどこを指すかは、求人ごとに確かめる必要があります。

求人票で下限を確かめる順番

条件で絞ったあとは、1件ずつ求人票を読みます。年収が下がるかどうかを見るときの順番は3つです。

  1. 年収レンジの下限と、いまの年収を比べる。いまの年収が下限より上なら、提示が下限の近くになったときに下がります。いまの年収が上限より上なら、その求人では下がる前提です
  2. 固定残業代の有無と、その時間数・金額を見る。年収に固定残業代が含まれている場合、いまの年収と同じ「残業込みの額」で比べているかを確かめます
  3. 賞与と手当の内訳を見る。「年収◯万円(賞与4か月分含む)」のように、業績で変わる部分が含まれていることがあります

2の固定残業代については、厚生労働省が、固定残業代制を採る場合は①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、③固定残業時間を超える時間外労働等に割増賃金を追加で支払う旨の3つを、募集要項や求人票に明示するよう求めています。この3つがそろっていない求人は、年収の中身を比べられません。

残業を減らす方向の転職では、特にここが効きます。いまの年収に月30時間分の残業代が含まれていて、転職先の年収には含まれていないなら、額面が同じでも時給は上がり、額面が少し下がっても実質は変わらないことがあります。比べるときは、額面ではなく「基本給」と「残業時間」をそろえます。

下がる条件を選ぶなら、先に決めておくこと

残業を減らしたい、面接の負担を減らしたいという理由で、下がる側の条件を選ぶこともあります。そのときに決めておくのは次の3つです。

  • 下げてよい額の上限。「いまより50万円まで」のように金額で決めます。決めないと、下限の低い求人も候補に残り続けます
  • 何と引き換えにするか。残業時間、通勤、担当範囲など、年収の代わりに得るものを1つに決めます。2つ以上を同時に取りに行くと、年収の下がり幅が大きくなります
  • 下限ではなく提示額で交渉する余地。レンジの幅の中央値は300万円あります。下限に張り付いた提示になるとは限りません

3つ目は、内定が出たあとの話です。提示額がレンジのどこにあるかを確かめ、動かせる材料を出す手順は年収交渉はいつ何を言うかで扱っています。転職全体をどの順番で進めるかはITエンジニアの転職の進め方の7工程にまとめています。

この進め方が向かない人

  • 年収を上げることだけが目的の人。この記事は「下がるかどうか」を確かめる手順です。上げる方向の交渉材料は別に集める必要があります
  • 未経験の職種に移ろうとしている人。今回の数字は求人に書かれた年収レンジで、未経験で応募した場合の提示額は下限より低くなることがあります
  • フリーランスや業務委託を考えている人。当サイトは正社員転職だけを扱っています。今回の集計も正社員の求人に限っています
  • いまの年収の内訳が分からない人。基本給・固定残業代・賞与の内訳が分からないと、下がるかどうかを比べられません。給与明細と雇用契約書で先に確かめてください
  • 1社の求人だけで判断したい人。今回の数字は1社の求人検索のデータです。傾向の確認には使えますが、個別の求人の良し悪しは求人票で見る必要があります

よくある質問

残業の少ない会社に移ると、年収は下がりますか

求人の条件で数えた範囲では、下がる方向に働いていました。「残業月20時間未満」の求人は、下限が600万円以上の割合が21.7%で、条件なしの27.8%より低く、職種を揃えても9職種すべてで下がっていました。ただし固定残業代が抜けた分の差であることもあるので、基本給と残業時間をそろえて比べてください。

自社開発の会社に移ると年収が下がると聞きました

今回の数字では逆でした。「自社サービスあり」の求人は下限600万円以上の割合が34.1%で、条件なしより高く、職種を揃えても9職種のうち8職種で上がっていました。これは求人に書かれた年収レンジの話で、個別の求人の提示額を約束するものではありません。

フルリモートの求人は年収が高いのですか

全体では高く見えますが、職種を揃えると上がる職種と下がる職種に分かれました。プロジェクトマネージャーでは上がり、フロントエンドエンジニアやネットワークエンジニアでは下がっています。フルリモートの求人に、もともと年収の高い職種が多く含まれていることによる見かけの差です。

求人検索で「800万円以上」を選べば、800万円以上もらえますか

もらえるとは限りません。レバテックダイレクトの年収の条件は、年収レンジの上限で判定されていました。「800万円〜」で残る求人のうち、下限が800万円以上なのは15.5%です。条件で絞ったあと、下限の数字を確かめてください。

求人票の年収レンジの、どのあたりで提示されますか

求人ごと、選考の結果ごとに違います。経験が求人の想定より浅ければ下限の近く、想定どおりなら中ほどになることが多いと考えてください。今回の母数ではレンジの幅の中央値が300万円あり、どこで提示されるかで年収が大きく変わります。面接の段階で、想定している年収の目安を確かめておくと判断しやすくなります。

年収が少し下がっても転職してよいのでしょうか

何と引き換えにするかが決まっていれば、判断できます。残業時間が減るなら時給で比べ、通勤がなくなるなら移動時間で比べると、額面の差だけでは見えない差が分かります。下げてよい額の上限を先に金額で決めておくと、候補を選び直すときに迷いが減ります。

まとめ

  • 年収は上限ではなく下限で見る。求人の年収レンジは、下限の中央値500万円・上限の中央値800万円で、幅の中央値は300万円だった(レバテックダイレクトの募集中・正社員求人7,732件・2026年9月28日取得)
  • 下限600万円以上の割合は、条件なし27.8%に対し、面接1回17.7%・残業月20時間未満21.7%で下がり、自社サービスあり34.1%・フルリモート可31.6%で上がった
  • 残業月20時間未満は、職種を揃えても9職種すべてで下がった。固定残業代が抜ける分も含まれる
  • 自社サービスありは、職種を揃えても9職種のうち8職種で上がった。フルリモートの上昇は職種の偏りによるもの
  • 求人検索の「800万円〜」は上限で判定されていた。残る求人のうち下限が800万円以上なのは15.5%
  • 年収の条件が上限か下限かはサービスごとに違う
  • 求人票では下限・固定残業代・賞与の内訳の順に確かめる

下限の近い求人をまとめて比べたい場合は、年収の下限で絞り込めるサービスを使うと、最初の候補を作る手間が減ります。なお、この形のサービスは登録後に面談があります。

年収の集計は、2026年9月28日にレバテックダイレクトの求人検索に表示された募集中の求人のうち、雇用形態が正社員の7,732件について、求人ごとに表示された年収レンジの下限と上限を記録したものです。条件は求人に付いたタグで判定しました。1社のデータであり、市場全体の比率ではありません。各社の年収の絞り込み条件は、2026年8月28日から9月28日にかけて各社の公式サイトで確認したものです。

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エンジニアの転職で年収交渉はいつ何を言うか|下がるかどうかを確かめたら、次は提示額を動かす段階です。レンジのどこで提示されたかを確かめる手順を扱っています。

出典